活発な梅雨前線の影響で、九州は22日も南部を中心に断続的に大雨が降り続き、山間部などでは降り始めからの総雨量が1000ミリを突破。鹿児島県阿久根市、大口市、熊本県水俣市などでは、観測開始以来最高の24時間雨量を記録した。鹿児島県で死者3人、行方不明者1人が出たほか、鹿児島、熊本、宮崎県で計6人が負傷した。熊本県南部では道路が寸断され孤立する地域が出始めている。22日午後8時現在、熊本、鹿児島、宮崎の3県で計約3万3000世帯、約7万6000人に避難指示・勧告が出ている。
福岡管区気象台によると、18日午前0時から22日午後5時までの総雨量は、宮崎県えびの市1003ミリ▽都城市571ミリ▽鹿児島県さつま町920ミリ▽阿久根市611ミリ▽出水(いず(み)市516ミリ▽熊本県人吉市594ミリ▽水俣市571ミリ▽熊本市404ミリ。
同日午後から雨の勢いはやや衰えたが、梅雨前線は活発なまま次第に北上し、23日夕方までに▽福岡県で300ミリ▽熊本、佐賀、長崎、宮崎、鹿児島県で250ミリ▽山口、大分県で200ミリ--の降雨が予想される。
鹿児島県警によると、22日午後0時半ごろ、大口市堂崎の奥薗みきさん(86)が自宅近くの川からあふれた濁流に流された。約1時間半後に近くの水田で発見されたが、まもなく水死が確認された。また、さつま町柏原の砂利採取業、鉢迫義治さん(76)が同日午後、川内川河川敷の現場事務所に向かったあと行方不明になっている。
さらに、22日午後4時15分ごろには、薩摩川内市祁答院(けどういん)町下手の建設会社事務所の裏山が高さ15メートル、幅35メートルにわたって崩落。近くの設計士、海野浩一さん(45)が土砂で生き埋めになり、約1時間半後に救助されたが、間もなく死亡した。また午後6時前ごろには、菱刈町下手の民家など5棟が土砂崩れで全半壊し、生き埋めになった無職、宝満令子さん(65)が救助されたものの、間もなく死亡した。
午前10時までの1時間に88ミリの猛烈な雨を観測したさつま町では市街地の川内川がはんらん、町は911世帯2124人に避難を指示。うち8世帯35人が住宅の2階などで孤立し、県が派遣要請した自衛隊のボート6隻で救助された。
高速道路は九州道の八代-溝辺鹿児島空港インターチェンジ間などで通行止めとなった。
毎日新聞 2006年7月22日 19時21分 (最終更新時間 7月22日 21時05分)