第88回全国高校野球の地方大会は29日、8地区で決勝が行われた。神奈川では今春のセンバツ優勝校、横浜が同じくセンバツに出場した東海大相模に大差で勝利。埼玉では浦和学院が鷲宮の好投手、増渕竜を攻略し、それぞれ2年ぶりの出場を決めた。和歌山では智弁和歌山が田辺に快勝して3季連続、岡山では関西が岡山城東に競り勝って4季連続の甲子園。八幡商(滋賀)は6年ぶり、開星(島根)が4年ぶりに返り咲き、熊本工(熊本)は3年連続。南陽工(山口)は春夏連続出場(夏は28年ぶり)を果たした。大阪の準々決勝ではセンバツ4強のPL学園が東大阪大柏原に敗れた。
▽神奈川・決勝(横浜スタジアム)
横浜
241304010=15
000014200=7
東海大相模
(横)川角、西嶋-福田(東)高山、長谷川将、菅野、藤田-鈴木▽本塁打 高木、岡田(横)田中広(東)
(横浜は2年ぶり12回目)
○…今春のセンバツ出場校同士の対戦は、20安打の横浜に軍配が上がった。東海大相模の左腕エース高山のストライクを取りに来た甘い球をのがさず、四回までに10点を奪ってKO。渡辺元智監督は「攻撃は最大の防御と、打撃練習に時間を割いてきた成果が出た」と満足そう。松坂(西武)を擁した98年以来の春夏連覇について「絶対的な投手はいないが、うちしか狙えないことなのでチャレンジしたい」。主将の福田も「スタートラインには立てた。狙います」と宣言した。
▽埼玉・決勝(県営大宮)
鷲宮
000000000=0
20000101×=4
浦和学院
(鷲)増渕竜-赤荻(浦)坂上、赤坂、坂上、赤坂-真中▽本塁打 鮫島(浦)
(浦和学院は2年ぶり8回目)
▽和歌山・決勝(紀三井寺)
智弁和歌山
000032100=6
001000000=1
田辺
(智)松隈-橋本(田)大嶋、湯田-棒引▽本塁打 広井(智)
(智弁和歌山は2年連続14回目)
○…智弁和歌山が地力を見せつけ、3季連続の甲子園切符をつかんだ。失策絡みで田辺に先制されたものの、五回には3番・広井が逆転の3ラン。その後も着実に得点を重ね、先発の松隈が丁寧な投球で追加点を許さなかった。優勝した春の近畿大会では3試合で48得点。相手を圧倒する強力打線が看板だが、高嶋監督は「駒大苫小牧の(エース)田中君と当たったら、1、2点しか取れないでしょう。甲子園ではいかに最少失点で守れるかが課題」と早くも本番を見据えていた。
▽岡山・決勝(倉敷・マスカット)
岡山城東
000000001=1
00000020×=2
関西
(岡)奥橋-山田(関)中村-小原▽本塁打 奥橋(岡)
(関西は2年連続7回目)
○…関西が投手戦を制し、4季連続の甲子園出場を決めた。ゼロ行進が続いた後、七回2死一塁から小原の三塁打で先制、送球が乱れた間に小原も生還して2点をもぎ取った。九回の守備では、今春のセンバツの早稲田実戦で逆転を許す“痛恨の後逸”をした右翼の熊代が気迫のダイビングキャッチ。熊代は笑顔で「甲子園に恩返しに行きます」。
▽滋賀・決勝(県立彦根)
滋賀学園
010110000=3
10004001×=6
八幡商
(滋)伊佐、中村、伊佐、川口潤-小角(八)成宮-宮川▽本塁打 伊佐、川口敦(滋)遠塚(八)
(八幡商は6年ぶり6回目)
▽島根・決勝(松江市営)
出雲北陵
000001202=5
03202101×=9
開星
(出)前坂-納谷(開)吉田-重政
(開星は4年ぶり4回目)
〇…島根大会決勝は、準決勝までの4試合で34得点の強力打線を誇る開星が序盤から出雲北陵を圧倒。打ち勝つ野球で4年ぶりの甲子園切符を手にした。今春の中国大会では準優勝。「甲子園ではまだ未勝利。まずは1勝を目指したい」と野々村監督。太田主将も「甲子園では、県代表として恥ずかしくない結果を残して帰ってきたい」と誓っていた。
▽熊本・決勝(藤崎台県営)
熊本工
140201124=15
000021020=5
専大玉名
(熊)隈部、今村、藤本、前田-橋本(専)加藤、木村-徳山▽本塁打 橋本、狩場2(熊)中矢(専)
(熊本工は3年連続18回目)
○…準決勝まですべてコールド勝ちの熊本工は、決勝でも3本塁打を含む17安打15得点の猛攻で3年連続の甲子園切符を手にした。だが、試合後の林監督は「4人も投手を使うとは思っていなかった」と渋い表情。先発・隈部と、五回途中で交代した2番手・今村がともに制球が定まらず、8安打を浴びて八回までに計5点を奪われ、予定以上に投手をつぎこんだ。それでも「甲子園に行く前に、投手陣に実戦を通じての緊張感を与えられたかも」と最後は前向きにとらえた。
▽山口・決勝(下関)
南陽工
003413004=15
100000002=3
多々良学園
(南)仲野、村岡-佐伯(多)梅田、横道、武居、目代、中村-竹内
(南陽工は28年ぶり2回目)
○…センバツ出場の南陽工は、元広島の津田恒美投手(故人)がエースだったチーム以来、28年ぶりに夏の甲子園出場。一回に先制を許したが、三回に集中打で逆転すると、その後も得点を重ね、快勝した。センバツでは、開幕試合で神港学園(兵庫)を相手に力を発揮できないまま零封負け。山崎監督は「必ず1勝して雪辱したい」と決意を語った。
毎日新聞 2006年7月29日