社会人野球の人気クラブチーム「茨城ゴールデンゴールズ」の解散が回避されることになった。後援会やファンから存続を求める声が多数寄せられたことを受け、萩本さん自身が22日、前言を撤回した。
「やめることにしました」。3日前の萩本さんの解散表明は、野球を愛するがゆえとはいえ、あまりにも唐突で、選手やファン、後援者に対しても説明不足だった。
茨城GGは、萩本さんが個人の熱意と努力で設立したチーム。しかし、2年足らずの間に、野球界や地域社会にしっかり根付き、「萩本さん個人のチーム」から、「地元のチーム」「ファンのチーム」「選手のチーム」になっていたことを、萩本さんも今回の騒動で痛感したのではないか。
存続する茨城GGにはもちろん、やらなければいけないことがある。
第一に、警察による山本圭一さん(極楽とんぼ)への捜査の結論を待って、問題にしっかりけじめをつけることである。
既に茨城GGは山本さんの除名(選手登録抹消)と、当夜の食事の席に同席していた2選手の当面の謹慎を日本野球連盟に報告しているが、関係者へのさらなる謝罪も必要だし、再発防止策などもきちんと打ち出す必要がある。
「人気球団」ということで、選手に浮ついた気分がなかったか。社会人としてどう行動すべきかから、選手教育のあり方を考え直すべきだろう。
第二に、本拠地球場を整備するなどバックアップしている地元自治体やスポンサー、後援会にきちんとこの間の経緯を説明することだ。「やめます」「またやります」では済まない。しぼませてしまった夢を再びふくらませるべく、一から出直す覚悟が必要だろう。
第三に、傷つけてしまった社会人野球のイメージを修復させなければならない。忙しい仕事の合間を縫って野球に打ち込む仲間たちが全国におり、その一途な思いに水を差した。クラブチームの模範となれるよう、さらなる努力を望みたい。
解散表明の際に、「野球に失礼しちゃった」と涙した萩本さん。その思いをチーム全員で共有することからすべてが始まる。【大矢伸一】
毎日新聞 2006年7月22日 20時22分