パロマ工業製のガス湯沸かし器で一酸化炭素中毒事故が相次いだ問題で、経済産業省は10日、ガス事業法などに基づきパロマ工業や親会社パロマの本社、各地の営業所に対する立ち入り検査を実施した。パロマが先月31日と今月7日に提出した事故報告書が客観性や根拠に欠けていると判断したためで、立ち入り検査で資料を集める必要があると判断した。今後、資料を分析し、結果によっては同法に基づき業務改善命令などの行政処分を課す方針。
同省によると、立ち入り検査は10日午前9時から、パロマ工業本社(名古屋市)▽同本社工場(同)▽パロマ本社(同)のほか札幌、苫小牧、横浜、長野、大阪、奈良、沖縄の全国7カ所の営業所で行っている。本省の担当課長ら計38人を動員し、事故要因となったコントロールボックスの不正改造への対応や、はんだ割れなど故障に関する資料を集めている。
ガス器具の製造業者に対して事故原因の報告を要請することができると定めるガス事業法に基づき、経産省はパロマに対して事故に関する調査報告を要請していた。パロマは、7月31日に自社の法的責任を否定する内容の報告書を提出。同省は「内容を裏付ける根拠が明らかでない」として、30項目にわたる質問を挙げ、パロマに回答を求めた。これに答える形で提出された今月7日の再報告についても、同省は「客観性に欠ける」と判断した。
同省原子力安全・保安院液化石油ガス保安課は「再報告でも事故がなぜ起きたのかといったデータが出てこなかったため、現場で自ら集める必要があると判断した」としている。【北川仁士】
毎日新聞 2006年8月10日