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パロマ工業事故:亡くなった息子の母が提訴も 北海道

 
パロマ側に賠償請求する渡辺アキ子さん(右)と、アキ子さんを支援する姉の大石トメ子さん=7月31日、高橋正博写す

 パロマ工業製湯沸かし器による一酸化炭素(CO)中毒で89年4月、北海道北見市内のアパートで男女2人が死亡した事故で、亡くなった渡辺定男さん(当時29歳)の母アキ子さん(70)が1日、同社などに損害賠償を請求する考えを明らかにした。パロマ側との協議が不調に終われば、提訴するという。

 事故は同月7日に発生した。アキ子さんがアパートを訪ねたところ、玄関付近で定男さんが苦しみ、浴室でいとこの札子さん(当時28歳)が倒れているのを発見。119番通報したが、札子さんは既に死亡しており、定男さんも約50日間の入院生活の後、亡くなった。

 左半身不随のため、アキ子さんは8年前から同市川東の特別養護老人ホームに入所。姉の大石トメ子さん(76)がたびたび訪れている。賠償請求の意思を固めたのは、パロマ側から一切謝罪がなく、法的責任も認めていないからだ。「あの事故の後、パロマ工業やプロパンガス納入業者から1円の見舞金も受け取っていない。せめて謝ってほしい」とアキ子さんは言う。

 大石さんは1日朝、「被害者救済110番」を行った札幌の法律事務所に相談し、石川和弘弁護士に賠償請求の考えを伝えた。石川弁護士は20人余りの弁護士による弁護団を結成してパロマ工業などと交渉し、請求が認められなければ提訴する考えだ。石川弁護士は「お盆すぎから、各地の被害者、遺族から詳しく事情を聴き、9月にも交渉を開始したい。交渉、裁判は長期化を避けられないのではないか」と話す。

 亡くなった札子さんはアキ子さんや大石さんののめいにも当たる。「定男も札子も遺骨をお寺に預けっぱなし。賠償金が得られたら、永代供養してもらい、墓も建てたい。迷惑をかけたお寺にもお礼したい」とトメ子さんは話している。【高橋正博】

毎日新聞 2006年8月2日 

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