岐阜県庁の裏金問題で、同県は14日、県職員組合口座に集約された裏金のうち約1000万円を横領したとして、元組合役員の男性職員(49)を業務上横領容疑で県警に告発した。古田肇知事が会見で明らかにした。一連の裏金問題で県による告発は初めて。
この職員は現在総務部に所属する課長補佐で、97年10月~00年10月に組合書記次長、00年10月~03年10月に副委員長を務めた。職員は会計責任者である書記次長当時の99年1月、裏金の集約先として「岐阜県職員組合中央執行委員長」名義の口座を開設。裏金を管理する役割を務めていた。しかし、副委員長就任後も後任の書記次長に役割を引き継がず、口座の解約日(01年4月10日)当日に「岐阜県職雅会(みやびかい)」名義の口座を新たに開設し、裏金を移した。この間、両口座から計1000万円余を引き出した疑いが持たれている。
この職員は組合の内部調査に対し、3回にわたって1000万円を引き出したことを認めたが、「使途は覚えていない。私的流用はない」と話しているという。
裏金問題では、第三者機関のプール資金問題検討委員会(幅隆彦委員長)が今月1日、私的流用が強く疑われる数人を刑事告発すべきだと古田知事に提言していた。【秋山信一、中村かさね】
毎日新聞 2006年9月14日