道外への人口流出が止まらない。総務省が5日発表した2014年の住民基本台帳に基づく人口移動報告によると、北海道の転出超過数は8942人で前年比788人増えた。全国の都道府県では最多。道内179市町村のうち転出超過は161市町村と9割に上る。一方で、札幌市の転入超過数は8363人と全国で東京都23区に次いで多く、札幌圏への人口一極集中が加速している。
道内への転入者は4万6554人で前年比2.6%減少した。道外への転出者は0.8%減の5万5496人。転入者から転出者を差し引くと8942人の転出超過となった。転出が転入を上回るのは19年連続。転出先は東京圏が中心で、就学や就労を機に移るケースが多いとみられる。
市町村別にみると、全国で転出超過数の多い上位20市町村に道内では函館市、小樽市、釧路市、室蘭市と最多の4市が入った。道内の地方都市からの人口流出が目立つ。
対照的なのは札幌市。東京都を除けば大阪市や名古屋市など大都市圏を超える勢いで人口が流れ込んでいる。札幌市の転入超過数は前年に比べ1725人減ったものの、道内で2番目に多い恵庭市の約40倍に上るなど、一極集中が際立つ。転入超過は16市町村と前年より7自治体減っている。
国立社会保障・人口問題研究所の推計では、道内人口が減る中で札幌市が占める割合は2010年の35%から40年には41%に増える見通し。道庁は「札幌圏に集中すると地方産業やコミュニティーが弱体化するリスクが高まる」(人口減少問題対策室)と危惧する。
札幌以外で転入超過となった市町村はベッドタウン型が多い。東神楽町や東川町は旭川市に隣接し、農業や医療・福祉、製造業など産業基盤が安定しているのが特徴だ。また全国有数のスキーリゾート地となったニセコ町は、国内外からの観光客の増加を受けて宿泊業などが好調なことが背景にあるとみられる。
道庁は今年度から人口減対策を本格化させた。14年10月に人口減少問題対策本部を設け、11月には部局横断的な専属チームを発足させた。年度内に子育て支援の充実や産業育成など7つの柱を盛り込んだ指針を策定する方針で対応を急ぐ。