農研機構と放射線測定機器メーカーのクリアパルス(東京・大田)は7日までに、農地の放射線量を迅速に測る装置を開発したと発表した。装置が高感度になったことで測定時間を大幅に短縮した。無線で動く車などに搭載し、遠隔操作で水田や畑を移動させるだけで除染前後の空間線量率を簡単に把握できる。
装置はガンマ線の検出器や高度計、全地球測位システム(GPS)受信機などで構成し、全体の重量は5キロ程度。大型の検出器を採用しており、従来の携帯用測定器より感度を約30倍に高めた。
農研機構のグループはこの装置を使って、福島県の南相馬市と飯舘村で測定した。飯舘村の大規模水田(約30アール)では、無線で動く車に装置を積み、毎秒50センチ~1メートルの速度で空間線量率を調べたところ、約30分で測定できた。空間線量率は地面からの高さが30センチから1メートル程度であれば測れる。
トラクターや無人ヘリコプター、気球などに搭載することも可能。農家や除染業者などが除染前後の放射性物質の濃度分布を地図にして、一目で把握できるという。