【ワシントン=川合智之】オバマ米大統領は9日、ホワイトハウスでドイツのメルケル首相と会談した。ウクライナに対する軍事支援などを巡り協議。米はウクライナ軍に殺傷能力のある武器の提供を検討しているが、独はフランスとともに外交的な解決を目指す構えで、メルケル氏はオバマ氏に武器提供の見送りを求めるとみられる。
バイデン米副大統領は7日のミュンヘン安全保障会議での演説で「欧米は試されている」と強調、「ウクライナ国民は自国を防衛する権利がある」と武器供与の可能性を示唆した。米は現状、ウクライナに暗視ゴーグルやレーダーなどの装備品を提供しているが、殺傷能力のある武器は含まれていない。
ウクライナの緊張の高まりを受け、ライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)は6日、ウクライナへの殺傷能力のある武器提供について「検討中だが重要な一歩となる」と可能性を認めた。米議会でも武器提供を求める声が強まっており、慎重だったオバマ氏も、近く提供の是非を判断するとみられる。
一方、メルケル氏は7日に「軍事作戦では事態は解決しない」と述べ、外交での和平実現を目指す考えを改めて表明した。ウクライナ軍と親ロ派武装勢力との衝突を激化させる恐れがある武器提供には慎重で、9日の首脳会談でも同様の意向を伝えるもようだ。
両首脳は過激派「イスラム国」に対する有志連合の掃討作戦や、ギリシャの財政問題や金融支援などについても協議する見通し。
メルケル氏は会談後、カナダのハーパー首相と会うため9日にワシントンを出発。11日にベラルーシの首都ミンスクでロシア、フランス、ウクライナの首脳と会談する方向で調整している。