JR池袋駅近くで危険ドラッグを吸って車を運転し、暴走して7人をはねて死傷させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)罪に問われた名倉佳司被告(37)の初公判が10日、東京地裁(安東章裁判長)であった。被告側は「運転に支障を来す恐れがあるという認識はなかった」として起訴内容を争う姿勢を示した。
検察側は冒頭陳述で「被告は遅くとも2010年ごろから危険ドラッグを使用し、記憶を失ったと友人に話したこともあった」と指摘し、薬物の危険性を認識していたはずだと主張した。
弁護側は「頭がぼーっとし始めたのと同時に横断歩道にさしかかり、車を止めた。過去の薬物使用時には経験したことがない異変を感じ、そのうち意識を失い、気付いたら事故を起こしていた」と主張。危険ドラッグで運転に支障が生じる恐れがあるとは認識していなかったとした。
名倉被告は「取り返しのつかない重大事故を起こし、深くおわび申し上げます。どう償えばいいか、悔やみきれない」などと述べた。
起訴状によると、名倉被告は14年6月24日、危険ドラッグを使用し、正常な運転に支障が生じる恐れがある状態で車を運転して、1人を死亡させ6人に重軽傷を負わせたとされる。
事故をきっかけに、警察庁などは従来の「脱法ドラッグ」という呼称が危険性を伝えるのに不十分だとして「危険ドラッグ」に変更した。