政府は、北海道から東北の太平洋沖に連なる「日本海溝」と「千島海溝」を震源域とする巨大地震について規模や被害想定の見直しに着手した。17日に発足した内閣府の有識者検討会が、来年3月をめどに最大クラスの地震と津波を含めた震度分布や津波高などを推計。その後、死傷者数や建物倒壊など具体的な被害想定の検討に入る。
東日本大震災を受けて巨大地震の想定見直しが進んでおり、今回は南海トラフ地震、首都直下地震に次ぐ見直しとなる。
内閣府によると、日本海溝と千島海溝の周辺では過去にマグニチュード(M)7以上の大規模地震が多発し、津波による甚大な被害も起きている。政府の中央防災会議は2006年、将来発生する可能性が高い地震の規模として、最大M8.6、死者は最大で2700人に上るとの試算を公表した。
しかし、日本海溝で発生した東日本大震災はM9.0を記録し、死者・行方不明者は1万8千人を超えるなど当時の被害想定を大幅に上回った。中央防災会議の専門調査会は11年9月、今後の地震・津波対策として「あらゆる可能性を考慮した最大クラス」を想定するよう提言した。
有識者検討会は、古文書の分析や湖沼の津波堆積物調査など、最新の科学的知見に基づき予想される最大クラスの地震と津波の規模を分析。複数の地震モデルを用いて、各地の最大震度や津波高、津波の到達時間などを推計する。
17日の初会合では文部科学省の担当者が超巨大地震について最新の研究成果を報告するなどした。阿部勝征座長(東京大名誉教授)は「『想定外』をなくすために、最大クラスの地震と津波を想定する」と述べた。