【ベルリン=赤川省吾】ハンガリーを訪問したロシアのプーチン大統領は17日、オルバン首相と会談し、エネルギー分野で協力することで合意した。有利な条件でのガス供給などをちらつかせて欧州のなかの親ロシア国に接近し、欧州連合(EU)を揺さぶる構えだ。
ハンガリーのオルバン首相は、威圧的な政権運営で国内の求心力を保っている。少数民族の抑圧など民族主義的な色彩が濃く、EUとのあいだにはすきま風が吹く。
そこに目を付けたのがロシア。低価格でのエネルギー供給に応じるそぶりを見せた。
ハンガリーには渡りに船だった。「民族資本の保護」を狙って外資を狙い撃ちにした課税を導入したところ、欧州系企業が投資に及び腰になり、新たな成長源が必要だった。ロシアから安価でエネルギーを調達できれば、有権者からの支持率を高めることができる。
地元メディアによると両国は首脳会談で、エネルギー問題を中心に話し合った。ハンガリーはロシアからのガス供給の長期契約が今年で期限切れとなる。有利な条件で新契約を結ぶ方向となった。ロシア企業による原発建設も固まった。
プーチン大統領は昨年もオーストリアとセルビアを訪問し、エネルギー問題を巡って協議している。中・東欧ではポーランドやバルト3国など北部が対ロ強硬派なのに対し、南部は対ロシア感情が悪くないという歴史的な経緯もある。
ただ中・東欧は経済協力には積極的だが、政治・外交面では踏み込みすぎないようにしている。ハンガリーのオルバン首相もウクライナとのパイプを保ち、外交バランスを取っている。小国のしたたかさが垣間見える。