東京都の児童自立支援施設で入所する少年と付添人弁護士の面会に児童相談所職員が同席したことの適否が争われた訴訟で、東京地裁は19日、「自由を制限された少年が立会人なしで付添人と面会できる利益は保障されている」として職員の同席は違法と判断した。ただ、故意や過失のない対応だったとして、弁護士による10万円の賠償請求は退けた。
刑事訴訟法は、弁護人が刑事事件の容疑者や被告と立会人なしで面会できる権利を保障しているが、少年の付添人の場合は明確な規定がない。児童自立支援施設での少年と付添人との面会に同様の権利を認めた司法判断は初めてとみられる。
近藤昌昭裁判長は「少年の保護手続きは刑事手続きとは異なるが、付添人は少年の正当な権利を保護する役割を担っている」と指摘。少年が付添人の援助を受けられるよう立会人のない面会も認められるべきだとした。
一方で、都の施設ではそれまで少年の入所前の事情に詳しい児童福祉司を同席させることが通例だったと指摘し、故意や過失を否定した。
判決によると、弁護士が昨年1月、入所する少年と面会したいと伝えると、施設側は「児相の職員を立ち会わせる。そういう運用をしてきている」と回答。すぐに面会する必要があったため弁護士はやむなく立ち会いを承諾、2度の面会に職員が立ち会った。〔共同〕