子ども虐待防止のシンボル「オレンジリボン」。児童相談所のワーカーが身につけていた
■第4章「連携」(4)
午前9時、西日本のある市役所の会議室に25人が集まった。児童相談所(児相)の管轄エリアにある人口約5万人の市の「要保護児童対策地域協議会(要対協)」の実務者会議。市内のさまざまな虐待事案が報告され、対応方針が話し合われた。
【キーワード】要保護児童対策地域協議会(要対協)
連載「児相の現場から」
①小6の女の子。母親の暴力で一時保護し、施設に入所中。母親は5歳の弟と同居。家庭復帰を考えている
②4歳の女の子、養父からの性的虐待。一時保護後、養父が家を出ているので家庭引き取り
③幼児の兄弟。母は18歳。次男をたたいているとの通報があり調査中
④5歳の男の子。母親からの虐待。母親は精神科病院に入院中で、祖母と暮らす
⑤1歳の女の子。父からDV(家庭内暴力)を受けている母から「(子どもを)殺してしまいそう」とSOSがあり、一時保護中
要対協には児相、教育委員会、警察、保健福祉センター、市の担当部署など関係者が顔をそろえる。この要対協が扱うケースは約160件にのぼる。
子どもを守る地域のネットワークである要保護児童対策地域協議会(要対協)。関係者が子どもや家庭の情報を共有し、対応を話し合う。虐待の兆候をキャッチする「網」は広がったが、市町村から見ると、人手不足の児相が「対応しきれていない」と感じるケースも。
「①は来週、本人に話を聞きに…