親からの電話、学校や保育園との連絡、自治体の担当部署や保健師とのやりとり……。児童相談所のワーカーに次から次へと電話がかかってくる
■第4章「連携」(1)
「親に写真を見せられては困ります。保育園が撮ったことがわかるので」
親から虐待を受けた疑いがあるとして、児童相談所(児相)が職権で一時保護した保育園児をめぐり、保育園の園長が繰り返し要請してきていた。
【キーワード】要保護児童対策地域協議会(要対協)
連載「児相の現場から」
一時保護のきっかけは、園児にあざがあるという保育園からの通報だった。園はあざの写真も撮っていた。
児相は親と面談を続けたが、親が虐待を認めないため、証拠である写真を見せ、いろいろ話を進めていかなくてはならないと考えた。だが、保育園は親に対して「児相とはやりとりしていない」と話しており、親に写真を見せれば、保育園が児相と連携していたことが分かって、親から猛烈なクレームが来ると園長は心配していた。
担当ワーカー(児童福祉司)が「親に写真を見せたい」と説明しても園長は納得しなかった。そこで児相幹部が自ら園長に電話をかけた。
「保護の判断は児相がしました。法律で(保育園は)児相に協力することになっている、と保護者に説明していただくしかありません」
虐待防止には、ふだんから子どもと接し、親ともつながりがある保育園や幼稚園、学校の役割が極めて大きい。だが、親からの抗議を恐れて対応が消極的になり、児童相談所との連携がぎくしゃくすることもある。
園長と話すこと約15分。電話…