【ワシントン=川合智之】イラク軍とクルド人治安部隊は過激派「イスラム国」が占拠するイラク第2の都市モスルの奪還作戦を4~5月にも実行する方向で準備に入った。米中央軍が19日明らかにした。米軍など有志連合の支援を受けて2万~2万5千人規模の兵力を投入する。作戦の事前公表は異例で、テロとの戦いに本腰を入れる姿勢を打ち出す。
モスル奪還作戦はイスラム国掃討に向けた重要な節目となる。米中央軍が機密性の高い作戦の詳細を明らかにするのは初めて。モスルは昨年6月、イスラム国に制圧され、現在も戦闘員1千~2千人が展開しているとみられる。
米軍などの有志連合はイスラム国の拠点に空爆を続けているほか、地元治安部隊に軍事訓練や装備を提供することで戦いを支援している。今回の奪還作戦も訓練や空爆などで支える方針だ。
米国は大規模な地上部隊を送らずに、イラク軍などに地上戦を任せる方針を掲げている。オバマ米大統領は米国人人質らの捜索・救出に向けて特殊部隊などの投入を可能にする決議案を米議会に提出した。
米中央軍当局者によると、モスル奪還作戦に米特殊部隊を投入するかどうかは決めていない。ラマダン(断食月)が始まる6月中旬までの奪還をめざす。
このほかに当局者は、イスラム国と戦うシリア反体制派の訓練施設をカタールが提供することも明らかにした。これまでトルコやヨルダン、サウジアラビアで訓練を実施するとしており、米国はトルコ政府と19日に合意文書に署名した。