【カイロ=押野真也】エジプト大統領府は22日夜(日本時間23日未明)、シシ大統領のテレビ演説を国営テレビを通じて発表した。過激派「イスラム国」に対抗するため、サウジアラビアやヨルダンなどとの結束が重要だと強調し「アラブ諸国の軍が結束する必要性が日に日に高まっている」と強調。アラブ連合軍として過激派の脅威に対抗する意向を訴えた。
演説は事前に録画されたもの。シシ氏はこれまでにサウジアラビアやヨルダン、アラブ首長国連邦(UAE)などがエジプトへの軍事協力を表明したことを明らかにした。
今月15日、キリスト教の一派であるコプト教徒のエジプト人21人が、リビアで殺害された。エジプト軍は報復として、16日にリビア領内のイスラム国の拠点を空爆。22日の演説でシシ氏は「(リビア領内のイスラム国の拠点)13カ所を攻撃した」と明かし、今後も攻撃を続ける意向を示した。
22日にはリビアの首都トリポリにある駐リビア・イラン大使公邸に爆弾が仕掛けられて爆発した。死傷者はいなかったが、中東の衛星テレビはイスラム国に関連する組織の犯行の可能性が高いと報じている。リビアでは、重要施設である外国の公館を標的としたテロが頻発している。
リビアの治安悪化を放置すれば、隣国のエジプトやチュニジアなどに武器や戦闘員が流入し、周辺国に悪影響が及ぶとして、警戒する声が強まっている。エジプトは今後、サウジやUAEなどとともに、米国や欧州諸国にリビア問題で協調するよう呼びかける方針だ。