【ニューヨーク=共同】国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会で違反事例を調べる専門家パネルは25日、昨年に制裁対象となった北朝鮮の船舶運航管理会社が、船舶の名前を変えるなどして制裁を逃れ、世界中で運航を続けていると指摘した。この会社の業務に日本や中国、ブラジル、ロシアなどを拠点にする個人や組織が関与したとし、日本人1人の名前も挙げた。
北朝鮮外交官らの武器密輸への関与も引き続き確認されたという。年次報告書で明らかにした。
問題の企業は、キューバの兵器を運搬中にパナマで拿捕(だほ)された北朝鮮貨物船の運航管理会社「オーシャン・マリタイム・マネジメント」(OMM、本社平壌)。昨年7月に国連制裁リストに追加された。同社の管理する船舶は資産凍結の対象となったが、同年8月以降、管理する船舶13隻の名前を変更したという。
外国に入港した際に自社管理の船舶が差し押さえられることを懸念したとみられる。多くは所属会社名も変更しており、この手続きは在英国の北朝鮮大使館当局者が国際海事機関(IMO、本部ロンドン)に対して行ったとしている。
報告書は、OMMが「アジアや欧州、中東、南米に及ぶ国際的な(業務上の)ネットワーク」を構築していると指摘した。