【NQNニューヨーク=古江敦子】9日の米株式相場は反発し、ダウ工業株30種平均の終値は前週末比138ドル94セント(0.8%)高の1万7995ドル72セントだった。前週末に大きく下げた反動で、目先の戻りを見込んだ買いが入った。大型のM&A(合併・買収)の動きを受け、株式市場への資金流入が続くとの期待が買いを促した面もあった。
非鉄のアルコアが民間航空機やエネルギー市場などに向けチタンや特殊金属製品を供給するRTIインターナショナル・メタルズを買収すると発表した。米不動産投資信託(REIT)最大手のサイモン・プロパティ・グループは同業に買収を提案したことを明らかにし、相次ぐM&Aの報道を受け投資家が運用リスクを取る姿勢を強めた。
前週末発表の2月の雇用統計については雇用者数が堅調に増えた半面、賃金上昇が鈍いことが改めて意識された。米連邦準備理事会(FRB)による政策金利の引き上げペースは緩やかになるとの観測が浮上し相場を支えた面もあったという。
ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数も反発し、前週末比15.068ポイント(0.3%)高の4942.438で終えた。新製品「アップルウオッチ」を来月に発売すると発表したアップルが上昇。インターネット検索大手グーグルなど時価総額の大きい銘柄が上昇し、指数を押し上げた。
業種別S&P500種株価指数は「資本財・サービス」や「一般消費財・サービス」、「ヘルスケア」など8業種が上昇。「エネルギー」と「電気通信サービス」が下げた。売買高はニューヨーク証券取引所(NYSE)が約7億4000万株(速報値)、ナスダック市場は約16億6000万株(同)だった。
個別銘柄では、自社株買いを発表した自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)が大幅に上昇。ダウ平均の採用銘柄ではIBMやマイクロソフト、キャタピラーなどが上昇。外食のマクドナルドも上げた。
一方、中国で人員削減の方針が伝わった電気自動車(EV)メーカーのテスラ・モーターズが下落した。前週末にダウ平均から外れることが発表されたAT&Tが安い。