新関西国際空港会社が17日発表した2月の運営概況(速報値)は、関空の国際線の外国人旅客数が前年同月比65%増の69万人と、単月として過去最高を更新した。中華圏の「春節(旧正月)」があり、中国からの訪日客が大幅に増えた。
これまでの最多は花見客が多かった2014年4月の62万人。1994年の開港以来の月間トップ10はすべて14年度だ。14年4月~15年2月の累計の外国人客は前年同期比39%増の625万人。日本人客を57万人上回っており、年度ベースでも超えるのが確実となった。
その結果、日本人客が前年を下回っているにもかかわらず、国際線全体の旅客数は2月までの累計で前年同期比12%増の1217万人。外国人旅客の急増により、これまで最多だった13年度の1205万人を2月の時点で上回った。
新関空会社のある幹部はこの好調さを「新関空モデルがうまく回り出してきた」と話す。13年に導入した着陸料の割引制度をテコに航空会社への路線誘致を展開。格安航空会社(LCC)を含め新規就航や増便が相次ぎ、利便性が高まることで航空客も増えるという好循環が生まれている。
さらに業績に直結するのが商業収入の伸びだ。訪日客が増えたことで関空の商業施設は手狭になっており、第1ターミナルでは約1年の拡張工事を今月末に終え、1.4倍になる。大阪市内に「空港型免税店」を出店する計画もある。着陸料を抑えて旅客を増やし、商業部門で稼ぐという、目指す空港運営の姿に近づいてきている。
関空は大阪国際(伊丹)空港とともに運営権の売却を目指している。45年という運営期間の長さや、総額2.2兆円という価格の高さから、取得を目指す国内企業には慎重な姿勢も目立つが、足元の好調さをもとに今後の成長戦略を示せれば、企業が前向きに考える材料にもなりそうだ。