国際線出発フロアの掲示板。出発便はアジア行きがほとんどを占める=関西空港
関西空港発着の欧州便の減少が著しい。冬ダイヤでは前年から7便減って過去最低の週22便に。さらに、欧州各地への乗り継ぎ客が多かったターキッシュエアラインズ(TA、旧トルコ航空)が来年1月末でイスタンブール線の運休を発表。テロによる情勢不安が原因とみられ、低空飛行を脱する見通しがたたない。
11月上旬、TAのイスタンブール行きを待つ香川県綾川町の主婦(67)は「なくなるの?不便ですね」とがっかり。欧州に頻繁に旅行し、TAやエミレーツ航空に乗ることが多い。今回はイスタンブール経由で東欧を巡るツアーという。大津市の無職男性(65)も「欧州に行くなら、韓国・仁川空港に一度出る方が良いくらい。国際空港なんだからもっと頑張ってよ」とため息をついた。
TAは運休の理由に、日本人の欧州旅行需要の減少を挙げた。フランスでのテロに、本拠トルコでのクーデター未遂などの影響が重なり、この日のチェックインカウンターの列にも、日本人の姿はまばらだった。
運休に肩を落とすのは旅行者だけではない。大阪観光局の担当者も「残念としか言いようがない」。アジアだけでなく、欧州から大阪を訪れる人を増やす狙いで、今春、TAと覚書を交わした。航空会社との提携は初めてで、TAの欧州の支店でのアンケートやプロモーションなどをする予定だった。TAは運航再開の時期を未定とする。同局の担当者は「覚書が無効になった訳ではない。再開につながるよう一緒に頑張りたい」と望みをつなぐ。
アジア便を牽引(けんいん)役に、今冬も過去最多の国際旅客便(週1131便)を更新した関空だが、長距離は伸び悩んでいる。欧州便ではエールフランスやKLMオランダ航空なども昨冬から減便した。北米(ハワイ含む)便も今冬は週33便で2便減った。欧州と北米を合わせても構成比はわずか4・8%しかない。
需要がない訳ではない。関空を…