厚生労働省は18日、地域ごとに余剰な病院のベッド(病床)の削減を促すための指針をまとめた。レセプト(診療報酬明細書)データの分析に、人口や入院者数の予測も加味し2025年時点での適正なベッド数を見積もる。都道府県が今後10年の病院整備計画を立てるなかで、余剰なベッドを減らせるようにする。膨張する医療費の抑制にもつなげる。
適正な病床数の算定方法を盛り込んだ指針は、厚労省が18日に開いた検討会で示した。月内に都道府県に通知する。
医療費を都道府県別にみると、最も高い高知県と最も低い千葉県とで最大約1.6倍の格差がある。高知は人口10万人あたりの病床数でもトップで、病床の多さから医療費支出が膨らむ傾向は以前から指摘されていた。
病院から集めるレセプトの電子データを分析して、2025年時点の適正な病床数を算定することにした。人口推移などから見込んだ患者数とレセプトデータの分析結果を合わせて適正な病床数をはじく仕組み。
都道府県が今回の指針に沿って適正な病床数を全国約300の地域ごとに細かく算定する。病床数に余剰があれば、都道府県が各地の医師会や病院などに削減を要請する。
政府は15年度に、都道府県向けの指針と同様の算定法で全国の適正な病床数も推計する。推計値は、都道府県に18年度から導入する医療費目標を立てる際の基礎データとしても活用する方針だ。
ただ、医療機関側は収入減につながるベッドの削減には消極的だ。病床の削減が進まなくても、医療機関に強制できない。実際に余剰病床が減るかは微妙だ。