【カイロ=押野真也】18日にチュニジアの首都チュニスで起きた博物館の襲撃事件を巡り、シリアとイラクを拠点とする過激派「イスラム国」とみられる組織が実行犯としてインターネットに音声メッセージを19日に配信した。襲撃事件が始まりにすぎないとし、新たなテロ攻撃の実行を予告した。チュニジア政府は事件の全容解明を急ぐとともに、テロ事件の再発阻止に向けて厳戒態勢を敷いている。
チュニスで博物館襲撃に巻き込まれた人々(18日)=ゲッティ共同
チュニジア政府は、今回の事件を引き起こしたのはイスラム過激派組織アンサール・シャリアと断定している。しかし、19日にイスラム国を名乗る組織が実行犯としてインターネットに音声メッセージを配信した。
両者の関係は定かではないが、メッセージでは「(イスラム教に反する)背教者を殺害した」と述べ、事件を称賛した。そのうえで「これ(襲撃事件)は最初の雨粒にすぎない」とも話し、今後も同様の事件を引き起こす可能性に言及した。
チュニジアでは同様の事件が起きれば同国の信頼が失墜し、経済に悪影響が及ぶとの懸念は強い。治安当局は外国の過激派組織が関与していないか、事件の全容解明を急いでいる。
同国の治安当局は19日までに、襲撃事件に関わったとして9人を逮捕した。このうち4人は襲撃事件に直接関与し、残りの5人は手助けなどをした疑いが持たれている。
チュニジアの一部メディアは19日までに、博物館を襲撃し、治安部隊に殺害された2人について、イスラム国のメンバーだと指摘した。内戦状態にある隣国リビアの軍事訓練キャンプで戦闘のノウハウを学んだチュニジア人だという。
報道によれば、2人はリビア東部で地中海に面するデルナで訓練を受けた。デルナはイスラム国の関連組織の拠点となっている。報道が事実なら、実行犯とイスラム国は何らかのつながりがある可能性もある。
チュニジアからシリアやイラクに戦闘員として渡航した人物の数は3000人ともいわれる。治安当局はこうした人物が母国や欧州でテロを起こすことを警戒している。