トランプ米大統領は15日、ホワイトハウスでイスラエルのネタニヤフ首相と会談した。会談前の共同記者会見でトランプ氏は、イスラエルと将来のパレスチナ国家の「2国家共存」に必ずしもこだわらず、両当事者が交渉で解決すべきだとの考えを示した。
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トランプ氏は和平交渉の仲介に意欲を示しつつ、具体的な方針について「私は2国家共存と1国家を検討している。双方が望む方でいい」と述べた。パレスチナ国家樹立による「2国家共存」が唯一の解決策としてきた歴代の米政権の方針を転換する発言で、パレスチナ側の反発は必至だ。
パレスチナの暫定自治を定めた1993年のオスロ合意で2国家共存をめざす和平交渉への道が開かれた。ただ、イスラエルによる占領地への入植活動などが壁となり、オバマ前米政権が仲介した和平交渉は2014年4月に頓挫。ネタニヤフ氏は09年に2国家共存を容認したが、この日は明確に賛否を示さなかった。
トランプ氏は、国際社会がイスラエルの首都と認めていないエルサレムへの米大使館移転について「見てみたい。細心の注意を払って検討している。私を信じてほしい」と意欲を示した。
一方、イスラエルがトランプ政権発足後に加速させ入植活動について「少し自制してほしい」と慎重な対応を求めたが、ネタニヤフ氏は「入植地の問題は争いの核心ではない」とした。(ワシントン=渡辺丘)