【ワシントン=吉野直也】米軍など有志連合は25日、過激派「イスラム国」の支配下にあるイラク北部の要衝ティクリートの奪還に向けて空爆を始めた。イラクのアバディ首相の要請を受けたもので、同地での空爆は初めて。北部最大都市モスル奪還への試金石となる。
ティクリート奪還作戦は今月初めに開始した。イスラム教シーア派の民兵が主導し、シーア派を国教とするイランも加わっている。イスラム国の反撃の前に作戦は足踏みが続いていた。米軍など有志連合の空爆による支援で、作戦は新たな局面を迎えた。
空爆は主にイスラム国の拠点を破壊し、インフラなどへの影響を最小限に抑える。ティクリートにはイスラム国と同じスンニ派の住民が多く、宗派対立が激化する恐れもある。米軍は敵対するイランとの連携は否定している。
これに先立ちウォーレン国防総省報道部長は25日の記者会見で「ティクリート奪還作戦はイラク治安部隊が主導している」と強調。「米軍が最も頼りになる連携相手だとイラク側が理解することが重要だ」と語った。