【シンガポール=菊池友美】シンガポール通産省は14日、同国の1~3月の実質国内総生産(GDP、速報値)が前年同期比2.1%増えたと発表した。2014年10~12月期の成長率と同じだったが、前年1~3月期(4.6%)からは大きく減速した。建設業は堅調だったが製造業は不振が目立った。
製造業は前年同期比で3.4%縮小した。特に電子機器や精密機械、交通機関向けの製造業で生産量が落ち込んだ。建設業は民間需要の伸びに支えられて前年同期に比べ3.3%成長した。
同国の金融通貨庁(MAS)は同日、「小幅で緩やかなシンガポールドル高」を促す現行の金融政策を据え置くと発表した。同国は政策金利の代わりに為替政策を導入しており、緩やかなシンガポールドル高への誘導は金融引き締めを意味する。
MASは通常、4月と10月に金融政策を見直すが、今年1月に異例の緊急変更を発表。金融政策を緩和方向に小幅修正した。民間エコノミストの間では今回、追加緩和に動くとの予測が多数派だったが、MASは「GDP伸び率、インフレ率ともに1月の予想通りに推移している」として変更を見送った。