ソフトバンク傘下で米携帯3位スプリントは、携帯端末を希望の場所まで車で宅配するサービスを開始した。スプリントは米携帯大手4社のなかで唯一、契約者減が続き、4位転落の可能性も指摘されている。「店頭に行く時間がない」というような顧客でも簡単に端末を受け取ることができる仕組みを作ることで、利用者の囲い込みを狙う。
宅配サービス「スプリント・ダイレクト・トゥー・ユー」は、機種変更を希望する既存の携帯契約者が対象となる。現在、同サービスを提供しているのは、スプリント本社近郊のカンザスシティーだけだが、数週間以内にマイアミやシカゴでも開始する。年内を通じて、サービス網を全米の大都市に拡大していく計画だ。
携帯を受け取る場所は自宅や勤務先だけでなく、カフェや公園などでもいいという。専門家が車に乗り込み、新端末の設定や旧端末からの情報の移行などを手伝う。年末までに全米で配送用の車を最大5000台導入したい意向だ。
米国では、通信契約を結んでから1~2年経過した時点で、利用者を対象に通信会社が最新機種への変更をほぼ無料で提供して通信契約の更新を促すことが多い。スプリントは、こうした契約更新のタイミングで利用者が流出しないように、今回利便性を高める策を講じた。(ニューヨーク=清水石珠実)