進行が比較的遅い悪性脳腫瘍は発症の仕組みに応じ、生存率に差が生じる3つのグループに分類できることを京都大と名古屋大のチームが突き止め、13日付の米科学誌電子版に発表した。進行の度合いを測る新しい指標になり得るという。
3つに分類したことで、京大の小川誠司教授(病理学)は「悪性度の低い脳腫瘍に関し、より正確な診断ができるようになる可能性がある。それぞれの仕組みに応じた薬剤の開発も期待できる」と話している。
小川教授によると、悪性脳腫瘍は進行が速く悪性度の高いものと、進行が遅く悪性度の低いものがある。悪性度の低いものでも腫瘍の増殖が進むと、ほとんどの治療が効かなくなる。
チームは悪性度が低い脳腫瘍患者約750人分という大規模な遺伝子解析を実施。発症に関与する遺伝子の種類に応じて3グループに分類できることを明らかにした。
それぞれのグループの発症から5年後の生存率を調べたところ、最も低いグループで約30%、次に約70%、最も高いグループは約90%で、3分類の有効性が裏付けられたという。〔共同〕