【ワシントン=矢沢俊樹】米財務省高官は15日、中国主導で設立準備が進むアジアインフラ投資銀行(AIIB)について「協調融資などを通じて既存の多国間機関と密接な連携を進める余地はある」と述べた。経常黒字を計上する中国やドイツ、韓国などに対して内需刺激策を強化することも求めた。
16日に開幕する20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を前に記者団に語った。高官はAIIBに関し、国際的に高い融資基準を満たせば世界銀行などと「有意義な連携の余地がある」と述べ、一定の条件付きで容認していく構えを示した。AIIBの透明性確保に向け中国当局と協議を続けるとした。
高官は減速懸念が強まる米経済について「2014年後半の成長率は年3.6%に達し、民間部門は1990年代後半以降で最も早いペースで雇用創出している」と安定ぶりを強調した。
一方で「新興国の成長は鈍っており、複数の先進国は低インフレと長引く景気停滞に苦慮している」とも説明した。そのうえで「米国だけでは世界経済を支えるエンジンにはなれない」と語り、経常黒字で財政出動余地のあるドイツなどに内需喚起を求めた。