関西電力(9503)の八木誠社長は17日、会長を務める電気事業連合会(電事連)の定例記者会見で、原子力発電所の再稼働が遅れた場合の業績の影響について、「費用の繰り延べなどで5期連続の赤字は避けたい」と述べた。電力の値上げについては「申請中の価格を維持することで、(16年3月期の)黒字化を目指す」と述べた。
関西電は同日、関西電力高浜原子力発電所3、4号機(福井県高浜町)の運転差し止めを住民らが求めた仮処分申請で、福井地裁が14日に再稼働を認めない決定をしたことについて、不服申し立てをした。「世界でも1番厳しい基準の下で安全対策をしてきた。非常用の発電設備の対応などで事実誤認がある」(八木社長)という。
同社は税金の前払いの性格などを持つ繰り延べ税金資産を約5000億円(14年12月末時点)計上している。将来の利益の見通しが不透明になった場合、同資産を取り崩す会計上の処理について、「再稼働が遅れる期間がどれくらいか、その間に効率的努力ができるかが重要だ。仮処分の決定だけで、繰り延べ税金資産についての判断をするわけではない」との見解を示した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕