スマートフォン(スマホ)に突然高額請求画面が表示され、さらに「カシャ」とシャッター音がした。「顔写真を撮られ、送信された?」と不安になり、業者に連絡してしまえば相手の思うつぼ――。そんな新手のワンクリック請求が現れた。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は「実際は写真など撮られていない」と冷静な対応を求めている。
ワンクリック請求は、アダルトサイトのほか、ゲームサイトなどを閲覧する利用者に動画再生ボタンや別のサイトへのリンクをクリックさせ、「有料会員登録が完了」「料金を振り込んで」などと高額の料金請求画面を表示。誤認させて金銭をだまし取る手口だ。
IPAによると、こうした請求画面がスマホに表示された際、カメラのシャッター音がしたという相談が昨年末から相次いでいるという。
実際にはウェブサイトを閲覧しただけでスマホのカメラを操作されることはなく、閲覧ソフトでシャッター音を再生しているだけだという。スマホに詳しくない人に「写真を撮った」と信じ込ませ、不安をあおる手口とみられる。
慌てて画面に表示された連絡先にメールや電話をすると、相手にメールアドレスや電話番号を知らせることになり、追加請求の被害を受けるケースもあるという。
国民生活センターによると、ワンクリック請求は近年、販売手口別の相談件数の上位を占めており、2013年度は約6万9千件だった。被害の相談者は10代や30~50代の男性が中心という。
IPAは「不安に思っても絶対に請求業者には連絡せず、消費生活センターなどに相談してほしい」と話している。〔共同〕