【メルボルン=高橋香織】インドネシア政府が豪州人2人の死刑を執行したことを受け、オーストラリアのアボット首相は29日午前に記者会見し、豪政府が抗議のため駐インドネシア大使を召還することを明らかにした。執行を機に両国の外交関係が冷え込む可能性が高い。
アボット氏は死刑執行に強い遺憾の意を表明し「死刑は残酷で不必要だった」と語った。死刑囚の豪州人2人が約10年にわたる収監ですでに「更正していた」と述べた。
会見にはビショップ外相も同席し、インドネシアの豪政府関係者から同日午前3時(日本時間同2時)過ぎに死刑執行の連絡を受けたと述べた。今後のインドネシアとの外交関係については、大使召還を踏まえて検討すると述べた。
豪州は死刑制度に反対の立場。しかし、囚人交換など死刑執行の回避に向けた豪政府の働きかけは奏功しなかった。インドネシアでの死刑執行に対する国内の関心は高く、首都キャンベラや主要都市では28日から市民が夜通しで集会を開き、ジョコ大統領に「恩赦を」と訴えていた。