【シリコンバレー=小川義也】米マイクロソフト(MS)は29日、今夏に提供を始める次期基本ソフト(OS)「ウィンドウズ10」向けアプリ戦略を発表した。米グーグルのOS「アンドロイド」を搭載したスマートフォン(スマホ)やアップルの「iPhone」向けアプリを簡単に移植できる機能を無償で提供する。
グーグルやアップルに大きく出遅れたモバイル端末市場での巻き返しを狙う。サンフランシスコで29日開幕したアプリ開発者向けの年次会議で、サティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)ら幹部が表明した。
新機能を使えば、アンドロイド端末やiPhone、「iPad」向けアプリのプログラムに最小限の修正を加えるだけで、ウィンドウズ10向けアプリに作り替えることができる。
米調査会社スタティスタによると、2014年7月時点のウィンドウズ向けアプリの数は30万本。各100万本以上をそろえるグーグルやアップルに大きく差をつけられている。スマホやタブレットなどモバイル端末はアプリの充実度が売れ行きを左右する。スマホ市場のシェアが3%に満たないウィンドウズ向けにアプリを作る開発者はこれまで少なかった。
MSは世界90社の通信事業者と提携し、アプリ配信サービス「ウィンドウズストア」で購入したアプリの代金を月々の通信料金と一緒に請求する仕組みも導入する。1月に発表したヘッドマウント型コンピューター「ホロレンズ」を使ったアプリの先行開発事例も披露した。
ウィンドウズは現在、世界190カ国で15億台のパソコンやスマホに搭載されている。マイクロソフトは無償アップグレードをテコに、18年夏までに10億台をウィンドウズ10に切り替える目標を掲げた。ナデラ氏は一連の施策により、「みなさんのアプリがどこよりも多くのユーザーに使ってもらえるようにする」と訴えた。