【サンフランシスコ=永沢毅】安倍晋三首相は4月30日夜(日本時間1日午前)、宿泊先のホテルでカリフォルニア州のブラウン知事と会談し、同州が進める高速鉄道導入計画に日本の新幹線を採用するようトップセールスした。成長戦略の一環として進める官民連携によるインフラ輸出を自ら後押しした。
首相は会談で「開業以来一回も死亡事故がない」「短時間で多くの人を運べるので環境に良い」などと強調した。知事は「安全性は魅力的だ。環境や速度、乗り心地も重要だ」と応じたが、「高速鉄道は導入費用が高いとの声がある」とも指摘した。
高速鉄道計画はサンフランシスコとロサンゼルス郊外のアナハイムを結ぶ837キロメートルで、総事業費は676億ドル(約8兆1千億円)に達する見通し。入札には川崎重工業や東日本旅客鉄道(JR東日本)などが参加を表明している。首相は会談に先立ち、知事をホテル内に据えたJR東日本の新幹線シミュレーターに案内、安全対策や加速性を英語で同社社員が説明した。
首相はその後、カリフォルニア州に在住する日系人ら日米交流関係者と夕食をともにした。フェイスブック社などがあるシリコンバレーを訪れたことに触れ「日米間のイノベーションや技術協力が強化されると確信した。人的交流の発展へ政府も一層貢献していきたい」と語った。