【バクー(アゼルバイジャン東部)=中村亮】麻生太郎副総理・財務相は3日、日本からアジアへのインフラ投資を拡充するための包括策をつくる方針を表明した。国際協力機構(JICA)を活用してアジア開発銀行(ADB)と協力する枠組みを創設。新興国のインフラ整備事業を立案段階から支援し、官民一体で資金供給を増やす。(関連記事3面に)
3日、アゼルバイジャンの首都バクーで開かれたアジア開発銀行のセミナーで演説する麻生財務相=共同
麻生氏はアゼルバイジャンで開催中のADB年次総会のセミナーで「アジアのニーズにしっかりと応える」と述べ、政府開発援助(ODA)などを広げる考えを示した。
政府は「経協インフラ戦略会議」を5月中にも開き、包括策をまとめる。アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立作業を本格化させる中国がインフラ整備で求心力を増すなか、新たな枠組みで存在感の維持を狙う。
JICAとADBは新興国の政府や国営企業がインフラ整備の事業計画をつくる際に、民間金融機関などと組んで企画や運営を助言する。資金の返済が円滑に進む事業計画づくりを促し、民間企業が参加しやすくする。
麻生氏は環境に優しく地元の意向に沿った「高品質のインフラ投資」を大幅に増やすと表明。こうした投資を国際基準として後押しする。高効率の石炭火力発電など日本の得意なノウハウや技術の輸出も促進する。
一方、同じセミナーに参加した中国の楼継偉財政相は「アジアで国と国をつなぐインフラ整備などのニーズがある」と述べてAIIBの重要性を示唆した。