【モスクワ=田中孝幸】ドイツのメルケル首相は10日、ロシアの首都モスクワを訪れ、プーチン大統領と約3カ月ぶりに会談した。親欧米のウクライナ政府と親ロ派武装勢力の対立が続くウクライナ東部の和平に関して協議したとみられる。
10日、モスクワを訪れたメルケル首相(左)とプーチン大統領=ロイター
これに先立ち、メルケル氏はプーチン氏とともに市内中心部の赤の広場近くにある「無名戦士の墓」を訪れた。第2次大戦の独ソ戦で犠牲となった旧ソ連軍兵士のために花をささげ、過去のナチズムへの反省を怠らない姿勢を示した。
メルケル氏は9日にモスクワで開かれた対ドイツ戦勝70年式典に招待されていたが、欧米とロシアが対立するウクライナ問題を理由に他の先進7カ国(G7)首脳と歩調を合わせて欠席した。その代わりに翌10日に訪ロすることで、主要な貿易相手であるロシアへの配慮を見せた。
7日にはシュタインマイヤー外相もロシア南部ボルゴグラード(旧スターリングラード)を訪れ、独ソ戦の激戦の犠牲者に献花した。訪ロの理由について「ウクライナ危機と戦没者追悼は別だ」と語った。
ウクライナ東部では2月に同国とドイツ、フランス、ロシアの4カ国首脳がまとめた停戦合意が発効したが、政府軍と親ロ派による局地的な戦闘はやまず、犠牲者は増え続けている。会談でメルケル氏はロシアによる親ロ派への軍事支援を控えるよう要請する一方、プーチン氏は和平に向けたウクライナ政府への影響力行使を求めるとみられる。