【NQNニューヨーク=古江敦子】14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに大幅に反発した。前日比191ドル75セント(1.1%)高の1万8252ドル24セントと、過去最高値を付けた3月2日(1万8288ドル63セント)以来およそ2カ月半ぶりの高値で終えた。景気を冷やすと警戒されていた欧米の金利上昇に一服感が出たことで、投資家心理が改善した。
欧州ではドイツの10年物国債利回りが下げ、米債券市場でも長期金利が低下した。これまで急速な金利上昇を背景に企業や家計の資金繰りのコストが増えるとの警戒感が株価の上値を抑えていただけに、米株式には買い安心感が広がった。
外国為替市場でドルがユーロなどに対して下落し、海外で事業を展開する米主要企業の収益を圧迫してきたドル高への懸念が和らいだ。欧州の株高や朝方発表された週間の米新規失業保険申請件数が改善したことも投資家を強気にさせた。
幅広い銘柄に買いが入り、多くの機関投資家が運用の参考指標とするS&P500種株価指数は前日から22.62ポイント(1.1%)高い2121.10と4月24日以来およそ3週ぶりに過去最高を更新した。
ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は続伸した。終値は前日比69.104ポイント(1.4%)高の5050.795と4月28日以来の高さだった。
業種別S&P500種株価指数では「IT(情報技術)」や「生活必需品」、「ヘルスケア」など全10業種が上昇した。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約7億1000万株(速報値)、ナスダック市場は約16億9000万株(同)だった。
個別銘柄では、アップルやマイクロソフト、医療保険のユナイテッドヘルス・グループなどが上昇した。中国の電子商取引(EC)大手アリババ集団も高い。中国の物流大手の株式を取得したことで、配送業務が強化されるとの観測から買われた。
一方で、朝方発表した四半期決算で売上高が市場予想に届かなかった百貨店のコールズが大幅安。ネットワーク機器のシスコシステムズは前日夕に発表した四半期決算が増収増益だったものの、目先の利益を確定する売りに押され、ダウ平均の構成銘柄では唯一の下げとなった。