日本経済新聞社と日本経済研究センターが18日午後開いた景気討論会で、出席者が示した2015年度の実質国内総生産(GDP)成長率の見通しは前年度比1.4~2.1%となった。2015年末の円相場は1ドル=120~129円、日経平均株価は1万9000円~2万3000円と現行水準か、やや円安・株高が進むとの見方が出た。
討論する(左から)日本銀行の前田調査統計局長、丸紅の朝田会長、三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の嶋中所長、日本経済研究センターの岩田理事長(18日午後、東京・大手町)
岩田一政日本経済研究センター理事長は15年度のGDP成長率を前年度比1.4%と予想。15年末の円相場は1ドル=120円、日経平均の予想は1万9000円とした。岩田氏は日経平均の予想値について「米国で株価の調整があるほか、中国の株高が異常になっている」と述べ、「現状維持に近い」と説明した。
朝田照男丸紅会長は円相場について「中小企業のコストアップや地方への影響を考えると、当面は今のレベルが良い」として年末の見通しを1ドル=120円とした。日経平均は2万円~2万2000円と予想。「株価は企業価値をそのまま反映する」として「10%程度のさらなる値上がり」に期待を示した。15年度のGDP成長率は1.5%とした。
討論する日本経済研究センターの岩田理事長(18日午後、東京・大手町)
前田栄治日銀調査統計局長も、日経平均について「企業は価値を高める一段の努力にまい進している。そういった動きが反映されると期待している」と述べた。円相場と日経平均の見通しは示さなかったが、15年度のGDP成長率を1.5~2.1%とした。
嶋中雄二三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所長の予想は15年度のGDP成長率を1.9%と予想し、「設備投資を中心に、17年度まで(成長を継続して)やっていける入り口にいる」と説明。15年末の円相場が1ドル=129円、日経平均は2万3000円とした。米国の利上げが年末になる可能性や日銀の追加緩和を想定して述べた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
岩田一政(いわた・かずまさ) 1970年東大教養卒、経済企画庁(現内閣府)入庁。東大教授、内閣府政策統括官を経て2003~08年日銀副総裁。内閣府経済社会総合研究所所長を経て、10年10月より日本経済研究センター理事長。