【バンコク=小谷洋司】タイの国家経済社会開発委員会(NESDB)が18日発表した2015年1~3月期の実質国内総生産(GDP)は、前年同期比3%の伸びとなった。景気が底を打ったのは確かだが、回復のペースは鈍い。輸出と消費がともに振るわず、NESDBは15年通年のGDP予想を前年比3~4%増に下方修正した。
14年1~3月期は国内の政情不安で経済活動が停滞していた。その反動で成長率が高くなった側面もあり「1~3月期の勢いは長続きしない」(英調査会社キャピタル・エコノミクス)といった慎重な見方もある。
輸出の伸びは1%にとどまった。農産物価格の下落や中国の景気減速が響いた。民間消費の伸び率は2.4%だった。年間予想の下方修正幅は0.5ポイント。NESDBは主な理由として輸出の下振れを挙げた。
タイ中央銀行は3月と4月に連続利下げに踏み切った。18日に記者会見したアーコムNESDB長官は「金融政策で景気を永遠に刺激できるわけではない。(輸出増へ)製造業の競争力を高める必要がある」と話した。