財務省が22日発表した2014年末の対外資産・負債残高によると、日本の企業や政府、個人が海外に持つ資産から負債を引いた対外純資産残高は前年末比12.6%増の366兆8560億円と4年連続で増加し、過去最高を3年連続で更新した。実額ベースでみると、13年末から41兆1250億円伸び、09年末以来5年ぶりの高い増加額となった。業績が回復した国内企業による海外でのM&A(合併・買収)が活発だったほか、日本の投資家がドル建てで海外に持つ資産の円換算額が膨らんだ。
麻生太郎副総理・財務・金融相が同日午前の閣議で報告した。対外純資産が300兆円を超えたのは2年連続で、日本は24年続けて世界最大の債権国の座を維持した。第2位は中国の214兆3063億円、第3位はドイツの154兆7055億円だった。
対外資産残高は前年末比18.5%増の945兆2730億円と、6年連続で増えた。実額ベースでは13年末から147兆5860億円伸び、過去最高の増加額となった。円安進行に伴う資産評価額のプラス分は64兆3790億円。M&Aなど直接投資は前年末比24兆6390億円増の143兆9400億円だった。米国を筆頭に、英国、シンガポール、中国などで投資が盛り上がった。
外債などの証券投資は48兆8030億円増の410兆560億円だった。このうち47%が米ドル建て。14年末時点の円相場は1ドル=119.80円と13年末に比べ円安が約14円進み、海外資産の評価額を押し上げた。
海外から日本への投資などを示す対外負債残高は22.6%増の578兆4160億円と、5年連続のプラスとなった。実額では106兆4620億円増え、増加額は過去2番目の大きさだった。日本株の値上がりで評価額が拡大したほか、海外投資家による日本株や国内債の新規取得が伸びた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕