【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)の欧州委員会は27日、主にアフリカから地中海を渡って欧州入りを目指す不法な移民や難民が急増している問題を巡り、加盟国が不法な移民や難民の一部である計4万人を分担して受け入れるよう提案すると決めた。アフリカに近いEU南部のイタリア、ギリシャに今後2年間に到達するシリア人やアフリカ北東部のエリトリア人が対象で、加盟各国へ移送する計画だ。
欧州委の提案が実現するには加盟国の承認が必要だが、難色を示す国が少なくないもようだ。
提案の狙いは移民・難民の受け入れや救助にかかる負担をイタリア、ギリシャなど地中海の沿岸諸国に集中させず加盟国間で分かち合うことだ。
欧州委によると4万人は、国際社会の保護が必要だとされイタリアとギリシャに2014年に入国した不法な移民や難民の約4割に相当する。
分担割合は加盟国の人口や経済の規模、失業率、過去の受け入れ実績などで算出した。最も多く受け入れを求められるのがドイツの約22%(8763人)で、フランスの約17%(6752人)が次ぐ。受け入れた国は1人あたり6000ユーロをEUから受け取る。
英国、アイルランド、デンマークは分担から除外した。3国は難民などを巡るEUの政策に参加したり、適用除外を求めたりする権利を持つ。
これとは別に欧州委はEU域外で暮らすシリア難民のうち約2万人を加盟国間で分担して受け入れるよう提案した。最も分担割合が高いのはドイツの約15%。こちらの枠組みには英国、アイルランド、デンマークも参加する。英国は約12%の受け入れを求められる。