消費者金融が当初の融資元から引き継いだ債権に、借り手の過払い金が含まれることを知らなかった場合、返還義務があるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は1日、「業者側に少しでも過失があれば返還義務がある」とする初判断を示した。借り手側の敗訴とした二審・名古屋高裁判決を取り消し、審理を同高裁に差し戻した。
争点になったのは、借り手側が超過利息の支払いなどを主張せずに債権譲渡を承諾した場合、引き継いだ業者に同様の主張はできないとした民法の規定。同小法廷は判決理由で「通常の注意を払えば過払い金を含むことを知り得た場合にまで、借り手側が対抗できないとするのは不均衡」と指摘した。
ただこの規定を削除する民法改正案が今国会に提出されており、成立すれば判決の影響は限定的となる。
名古屋市内の女性が、シティグループの消費者金融、CFJ合同(東京)を相手に、過払い金105万円の返還を求めて提訴。一審・名古屋地裁は女性側の請求を認めたが、高裁は「過払い金を含むことを知らないことに重過失がなければ返還義務はない」と請求を棄却し、女性側が上告していた。