【イスタンブール=佐野彰洋】任期満了に伴うトルコ国会(一院制、定数550)の総選挙は7日投開票された。同国メディアによると、開票率99%で保守系与党・公正発展党(AKP)は260議席前後にとどまり、2002年の政権発足以来、初の過半数割れに追い込まれた。選挙戦に深く関与したエルドアン大統領の影響力低下は必至の情勢だ。
保守系与党・公正発展党(AKP)は2002年の政権発足以来、初の過半数割れに追い込まれた=ロイター
AKPは第1党の座は維持した。選挙戦ではエルドアン氏の権限強化を可能にする憲法改正を公約に掲げたが、トルコ国民は11年間首相を務めた後に大統領に転じた同氏への権力集中に「ノー」を突き付けた。今後は連立政権の樹立を模索することになるが、早期の再選挙論も浮上している。
AKPの得票率は前回総選挙から約9ポイント低い、41%前後にとどまる見込み。少数民族クルド人中心の国民民主主義党(HDP)は議席獲得の制限ラインである得票率10%を突破する躍進を遂げ、AKPを過半数割れに追い込む立役者となった。
南東部や東部に多く住むクルド人は敬虔(けいけん)なイスラム教徒が多く、一部はAKPの支持基盤だった。しかし、過激派組織「イスラム国」(IS)に対する政府対応などへの失望から離反し、HDPに流れた。トルコ全体では、失業の増加や下げ止まらない通貨リラ相場など経済問題への不満も広がっていた。