生物の体内時計をつかさどる「時計タンパク質」が、24時間という地球の自転周期に合わせて動く仕組みを、自然科学研究機構分子科学研究所(愛知県岡崎市)などの研究グループがラン藻を使った実験で解明した。体内時計の不調に由来する睡眠障害の治療に役立つ可能性がある。
細菌の一種であるラン藻には日中に光合成をして、夜は休眠するという一日の生活のリズムがあるという。
生活リズムには、時計タンパク質の中で、エネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が水分子と結合することで、どれだけ分解されるかが深く関わっている。グループは大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県佐用町)を使ってラン藻の時計タンパク質の構造を調べた。
その結果、ATPが水分子と結合するのを抑制する構造物の存在が判明。これが動くために抑制する力が24時間周期で強くなったり弱くなったりすることが分かった。
研究所の秋山修志教授は「生活のリズムを24時間周期に合わせることが有益だと小さな分子の中に刻み込まれている」と指摘。ヒトなどの高等生物でも同様の構造を持つ可能性があるという。〔共同〕