東京電力が、福島第1原子力発電所事故による損害賠償の総額を7兆円前後と見積もっていることが分かった。近く改定する新総合特別事業計画(再建計画)に盛り込む。4月に示した再建計画で6兆1千億円前後と見込んでいた賠償総額が1兆円ほど増える。原子力損害賠償・廃炉等支援機構と調整のうえ経済産業相に申請し、7月中にも認定を受ける見通しだ。
政府と東電は今月、原発事故による商工業者の営業損害の賠償は2016年度分で、避難者への慰謝料の支払いは17年度分で終了する方針を決めた。この方針に基づいて東電が追加の賠償額を試算したところ、除染費用の増加などもあり1兆円前後膨らんだ。賠償期間の終了後にも営業損害が出た場合、賠償総額はさらに膨らむ可能性がある。
東電は柏崎刈羽原発(新潟県)が10月から順次再稼働する前提の収支見通しを金融機関に示している。同原発の再稼働審査の先行きが見通せないため、再稼働の時期を見直した上で、再建計画を再び改定する見通しだ。