水力発電に利用されている群馬県片品村の丸沼ダム
東京電力ホールディングスは1日、「再生可能エネルギー100%」をうたう電気を家庭向けに売り出すと発表した。新電力の一部が再生エネ中心の料金プランを出しているが、「100%」は珍しく、大手電力では初の取り組み。原発や環境問題に関心が高い世帯への売り込みを目指す。
東電の新プラン「アクアエナジー100」は水力発電の電気だけを販売する。東電は自前の水力発電所154カ所を持ち、初年度は3万世帯分の電気(年1億キロワット時)をこのプラン用に確保した。平均的な家庭なら、東電の主力料金より2割ほど高い。販売地域は首都圏と静岡県の一部。
ただ送電線網では火力や原発でつくった電気と混ざって家庭に届くので、実際に水力の電気だけを使うことはできない。そこで東電は料金の一部を水力発電所の設備改良や植林に充て、「水力発電のためにお金を支払っていると実感してもらう」(担当者)と話す。
ソフトバンクや生協などが母体の新電力も再生エネ主体の電気を売り出している。ただ太陽光や風力発電が主力のため夜間や風が吹かない時は発電できず、再生エネの比率を100%にするのは難しい。水力ならこうした問題は起きず、電力自由化で先行する欧州では、多くの電力会社が水力と他の再生エネを組み合わせたプランを扱っている。(米谷陽一)