この日、2カ所目の民家で除草をする東京電力の社員たち。首都圏各地から原発事故の被災地に集まり、1回あたり1~3泊して支援活動に参加する=2月16日、福島県富岡町中央
原発事故から6年。除染が進められてきた避難指示区域などで、東京電力の社員が、住民の留守宅の後片づけや草刈りなどの被災者支援を続けている。約3万3千人の全社員に参加が義務づけられ、昨年11月で延べ30万人を超えたという。
避難指示区域の除染、3月末で完了へ 福島の11市町村
原発事故後、東電では2500人が依願退職した。一方で、福島県内の高校や大学から入社した若者が、16年度だけで46人いるという。福島県にある広野火力発電所に勤める草野隼斗さん(23)もその一人だ。「ふるさとのために何ができるか、まだ分からない。今は火力発電所をきちんと動かし、少しでも復興の費用を稼ぎたい」という。
避難者はなお8万人近くいて、損害賠償を求める訴訟も県内外で続いている。草野さんが定年を迎えるころ、廃炉作業はなお続いている可能性が高い。
私は「東電の延命のためのツケを国民に回されてはたまらない」と考えている。一方で、福島に3年間住んで、除染や賠償にかかる巨額の費用や、難航必至の廃炉作業は、東電が背負い続けるしかないとも思うようになった。
被災者と日々向き合い、償い続けるしか、東電の信頼回復の道はない。(原発取材センター長〈福島総局長〉 森北喜久馬)