第一三共は30日、子会社の北里第一三共ワクチン(埼玉県北本市)に100億円を追加出資すると発表した。同子会社は新型インフルエンザワクチンの製造設備にトラブルが生じたことや研究開発費の増加で、業績が低迷している。親会社の第一三共が追加出資に応じ財務体質を強化する。
第一三共はワクチン子会社が発行した66万6667株を、約100億円で取得した。払込額の半分は資本金に充当し、ワクチン子会社の資本金は従来の1億円から51億円となった。今回の追加出資で第一三共の出資比率は51%から80%に上昇した。
ワクチン子会社は調達した資金を、臨床試験の最終段階を迎えている混合ワクチンの開発費や、設備投資などに使う予定だ。
ワクチン子会社は国の助成を受けて、新型インフルエンザ発生時に使うワクチンの生産設備を設置した経緯がある。ただ、設備トラブルの影響で、国が求める半年で4000万人分のワクチンを供給する体制を作れないでいる。