日銀は2日、6月の全国企業短期経済観測調査(短観)の企業の物価見通しを公表した。3年後の消費者物価指数(CPI)上昇率の見通しは、回答企業約1万1千社の平均(全規模全産業)で前年比1.5%と、前回3月調査から0.1ポイント低下した。6月には一時1ドル=125円台まで円安・ドル高が進んだものの、企業のインフレ期待は高まっていない。
5月27日から6月30日にかけて調べた。全規模全産業の1年後の見通しは、1.4%、5年後が1.6%でともに前回と同じだった。製造業では、大企業で3年後、中小企業では5年後の物価見通しがそれぞれ0.1ポイント下がった。
同時に公表した企業の販売価格見通しも低下が目立った。大企業製造業では、1年後、3年後、5年後全てで前回調査から下方修正した。
日銀は2016年度前半に物価上昇率2%の目標達成を目指すが、企業の物価見通しは逆に弱含んでいる。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「日銀と企業や市場の見方とのズレは広がっており日銀に追加緩和を促す要因になりうる」とみている。
企業の物価見通しの調査は昨年3月調査から導入し今回で6回目。消費税率引き上げなどの影響を除いて1年後、3年後、5年後のCPIの前年比上昇率の見通しを尋ねている。