【ブリュッセル=森本学】欧州中央銀行(ECB)は1日、ギリシャの銀行の資金繰りを支えるために実施している資金供給額を据え置くことを決めた。ギリシャの銀行の苦境は当面続くことになりそうだ。一方、欧州連合(EU)も同日にユーロ圏財務相会合を開き、ギリシャが5日に実施する国民投票後までギリシャ政府との交渉は見送る方針を確認した。
バイクにまたがったまま取材陣に囲まれるギリシャのバルファキス財務相(1日、アテネ)=ロイター
ECBは「緊急流動性支援(ELA)」と呼ばれる仕組みを活用し、預金流出が続くギリシャの銀行を支えている。資金供給額は毎週見直すが、1日の理事会では上限枠を現行の約890億ユーロ(約12兆1千億円)に据え置くことを決めた。
ギリシャ国内では預金流出が進んでいたが、ECBから銀行への資金供給上限が一定額にとどまっているため営業停止などの規制が6月29日から実施されている。ECBは、ギリシャが緊縮策を受け入れればELAの上限枠を見直す用意があるとの立場だ。
1日にはユーロ圏財務相会合も開かれた。ギリシャ側がEUなどに要請している金融支援の延長や債務減免などについて改めて協議したが、5日に予定されている国民投票の結果が出るまでギリシャ側と交渉はできないとの見解で一致した。終了後にデイセルブルム議長(オランダ財務相)は「ギリシャ政府が国民投票で(緊縮策受け入れの)否決を国民に勧めている状況では、協議を続ける理由はない」と述べた。